戸隠神社の中社と宝光社周辺には、「宿坊(しゅくぼう)」と呼ばれる宿泊施設が数多く軒を並べています。
(鷹明亭辻旅館 画像出典:戸隠観光協会HP)
宿坊とは、お寺や神社の宿泊施設のことをいい、元々は僧侶や参拝者が泊まるための施設でした。
なので基本的に宿坊は旅館やホテルとは違い、あくまでも神社にお参りする参拝者に休んでいただくための宿です。
ただ宿坊に泊まると坐禅や写経などの修行をさせられ、味気ない精進料理しかないので空腹が満たされないという悪いイメージを持つ人もいらっしゃると思いますが、そんなことはありません。
現在は、宿泊施設としての設備やサービスも充実していますので、一般の観光客の方も安心して泊まっていただけるようになっています。
(山本館 画像出典:戸隠観光協会HP)
宿坊で提供される食事についても、伝統的な精進料理以外に加え、戸隠そばや信州牛や信州サーモンといった長野ならではの料理を提供しているところが数多くあります。
(画像出典:久山館HP)
また希望者は朝拝などの寺社文化の体験ができる宿坊もあり、日常から離れ心安らぐ時間を過ごせると人気を集めています。
(画像出典:戸隠観光協会 X)
旅館やホテルでの宿泊もいいものですが、せっかくなら戸隠神社周辺の宿坊で非日常を体験してみてください。
宿坊の由緒
戸隠神社は、古くは神仏習合の寺院であったため、一般的な神社でみられるような「氏子」制度がありません。
そのため、戸隠神社には「聚長(しゅうちょう)」と呼ばれる僧侶がいて、「戸隠御師(おし)」として諸国を行脚して信仰を広め、各地で信徒を増やしていったのでした。
そして各地で増えた信徒たちは、地域の有力農家などを中心に「講社」と呼ばれるを同一の信仰を持つ人々による結社を組織し、遠く離れた地で、戸隠神社を信仰していました。
この各地で組織された講社の人々が戸隠神社を参拝するときに、宿泊させるために聚長が作ったのが宿坊であり、明治維新の神仏分離政策を経て、長い年月の経った現在でも戸隠神社の宝光社と中社周辺に数多くの宿坊が現存しています。
現存する宿坊も、主人が神職の資格をもつ聚長を務めているところが数多くあります。
宝光社周辺の宿坊
戸隠神社宿坊 御宿諏訪
戸隠神社宝光社のそばにあるのが「旧延命院 御宿諏訪」です。
(御宿諏訪 画像出典:戸隠観光協会HP)
「うず潮」「放浪記」「浮雲」などの代表作で知られる作家の林芙美子さんが戸隠での定宿とされていた宿坊で、「うず潮」はこちらの宿坊で執筆されたと言われています。
(御宿諏訪 画像出典:御宿諏訪HP)
館内には林芙美子さんのミニギャラリーなども設けられ、林芙美子さんにまつわる品が展示されています。
また2018年10月に完成した戸隠エリア内で唯一の露天風呂付離れを贅沢に一棟借りできるプランも用意されており、戸隠でゆっくり過ごしたい方にはおすすめの宿坊です。
(画像出典:御宿諏訪HP)
(画像出典:御宿諏訪HP)
(画像出典:御宿諏訪HP)
当主は代々戸隠神社の聚長を務められていて、館内の奥には、九頭龍大神・戸隠大神・氏神・不動明王をお祀りしたご神殿があり、一般の方の参拝も可能となっています。
(画像出典:御宿諏訪HP)
名称 | 戸隠神社宿坊 御宿諏訪 |
住所 | 長野県長野市戸隠2336 |
電話番号 | 026-254-2018 |
駐車場 | 7台 無料、先着順 |
チェックイン | 15:00(最終チェックイン17:30) |
チェックアウト | 10:00 |
総部屋数 | 7室 |
【所在地】
戸隠宝光社バス停で下車してすぐのところにあります。
戸隠神社宿坊 山本館
平安時代に戸隠奥院から宝光院が分祀された1058年から、その山元に居を構え、今日まで神社とともに歴史を刻んできた宿坊が、山本館です。
(画像出典:楽天トラベル)
部屋は全部で12室あり、全館廊下は畳敷きとなっていますので、スリッパは不要です。
またバリアフリー対応もしており、車いすでも安心して利用できる宿坊となっています。
(画像出典:山本館HP)
また料理は、いつまでも忘れられない戸隠の味となるように季節に合った料理を、おかみさんが心をこめて提供してくれます。
(画像出典:楽天トラベル)
希望者は、敷地内にある神殿(九頭龍大神)にて執り行われる朝拝に参加することも可能です。
(画像出典:日々のいろどり手帖)
名称 | 戸隠神社宿坊 山本館 |
住所 | 長野県長野市戸隠2339 |
電話番号 | 026-254-2612 |
駐車場 | 20台 無料、先着順 |
チェックイン | 15:00(最終チェックイン18:00) |
チェックアウト | 10:00 |
総部屋数 | 12室 |
【所在地】
戸隠宝光社バス停を下車してすぐのところにあります。
中社周辺の宿坊
鷹明亭(おうめいてい)辻旅館
奈良、平安の時代から明治初期まで、戸隠山顕光寺の宿坊として「明遊坊」そして「寿教院」という宿坊名で、長く歴史を重ねてきたのが鷹明亭辻旅館です。
(画像出典:戸隠観光協会HP)
部屋は全部で12室あり、和室の他、和洋室も準備されています。
また日本庭園が眺められる部屋もあり、流れる時間に身を委ね、静謐と寛ぎの一時を過ごすことも可能です。
(画像出典:ながの観光コンベンションビューローHP)
鷹明亭辻旅館は「信州そば切りの店」認定店でもあり、提供されるそばは戸隠在来種を使った正真正銘の戸隠そばが提供されています。
またそば以外にも四季折々の戸隠の味覚を工夫を凝らした料理で提供してくれます。
(画像出典:鷹明亭辻旅館HP)
またご神殿はだれでも参拝することができます。
聚長を務められている主が語り継ぐ戸隠に関係する神話や歴史の話を聞きながら、神秘的なひと時を過ごすことも可能です。
(画像出典:鷹明亭辻旅館HP)
名称 | 鷹明亭(おうめいてい)辻旅館 |
住所 | 長野県長野市戸隠3360 |
電話番号 | 026-254-2337 |
駐車場 | 8台 無料 |
チェックイン | 15:00(最終チェックイン18:00) |
チェックアウト | 10:00 |
総部屋数 | 12室 |
【所在地】
中社大門バス停で下車して徒歩2分のところにあります。
旧本坊勧修院 久山館
戸隠神社中社の三本杉の一角の一本が入口にそびえたつのが、戸隠神社旧本坊勧修院 久山館です。
久山館は神仏習合の時代より、別当職(※)として戸隠山顕光寺を守ってきた由緒ある宿坊で、古くは武者小路実篤氏や歴代首相なども宿泊されたことがあるそうです。
※別当職とは、寺務を統括する僧職のことをいいます。
現在の本館は旧本館の様式を受け継いで昭和初期に再建されています。
また敷地内にある四季折々の彩りを見せる桃山風庭園の散策を楽しむことも可能です。
(画像出典:旅プロ)
また久山館では、四季折々の旬の食材を使った数々の料理を堪能することができます。
(画像出典:久山館HP)
部屋は全部で7室あり、本館に和室が3室、新館に和室が4室用意されています。
(画像出典:久山館HP)
また本館正面には、神殿があり、本地仏である八臂九頭龍弁財天をお祀りしています。
(画像出典:久山館HP)
もともと修験者の宿泊場所として始まった宿坊であり、今もその歴史を受け継ぎ、戸隠神社の神官を務める主人が毎朝神殿にて朝の御祈祷(神事)を執り行っているので、希望があれば、一緒に宿坊体験として御祈祷に参加することも可能です。
また筆写を体験することも可能で、心静かに筆を執り、神々様の御心に近づく貴重な時間を過ごすこともできます。
名称 | 旧本坊勧修院 久山館 |
住所 | 長野県長野市戸隠3515-1 |
電話番号 | 026-254-2311 |
駐車場 | 15台 無料 |
チェックイン | 15:00(最終チェックイン21:00) |
チェックアウト | 10:00 |
総部屋数 | 7室 |
【所在地】
戸隠中社バス停で下車して、すぐのところにあります。
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